西洋音楽の源流は、キリスト教カトリックの祈りの歌であるグレゴリオ聖歌と呼ばれる歌です。神への祈りの言葉が単旋律の美しいメロディに乗せて歌われてきました。そこに、対旋律やハーモニーなどの要素が加わって、より豊かな音楽となり、現在私たちが耳にする様々な音楽へと広がっていきました。
本日のプログラムは、そうした音楽の原点である、言葉とメロディ、すなわち「歌」に焦点を当てて組ませていただきました。
まずはグレゴリオ聖歌から直接繋がっていった、メンデルスゾーンとブラームスの宗教曲が幕開けです。
平田あゆみさんは、「うたう劇場」という演奏会を通して、素敵な日本語の歌を数多く発表されてきました。「まりになれ心」は、初めて聴く方にも、歌詞がちゃんと伝わることを大切に書かれた素敵な作品(歌)です。
信長さんの「三つの盆歌」は、日本人が受け継いできた民謡(日本の唄)と西洋音楽の語法が一体化した見事な作品です。
三善晃先生の「四つの秋の歌」は、まず歌曲として書かれ、のちに合唱作品に編み直されたもので、まさにー歌から始まったー作品です。本日は独唱と合唱を並べてお聴きいただくことで、それぞれの魅力を感じていただければ幸いです。
音楽監督・常任指揮者 雨森文也