12th Concert

カンティ・サクレ

~そして、つながる~

2023年 7月30日(日)

開演 13:30

高槻城公園芸術文化劇場 トリシマホール


 

本日はお忙しい中、ご来場を賜りまして誠にありがとうございます。

 

さて、故・三善先生は「唱歌には日本人の心の原風景がある」と仰いました。私やサクレのメンバーが小学生の頃には、おぼろ月夜や茶摘み、虫のこえが文部省唱歌として音楽の教科書に載っていて、それらの歌の風景は、まさに我が故郷の風景と具体的に重なっていて、今でもメロディをワンフレーズ聴いただけで、思い出の扉が開いて目の前に故郷の風景が広がります。

しかし、最近、それらの歌は、どんどん新しい歌に取って代わられ、おぼろ月夜や茶摘みなどを知らない子供たちが増えているそうです。一方で、文部省唱歌と言われる歌たちは、明治維新後の日本の西洋音楽教育の黎明期に、先人たちが西洋音楽のシステムに基づく旋律・和声・リズムと日本語の一体化に苦労に苦労を重ねて生み出した名曲たちであり、日本人にとって大切な文化遺産、財産でもあります。三善先生は、そうした唱歌の魅力をさらに引き出すべく「唱歌の四季」及び「唱歌の四季Ⅱ」の作・編曲(三善先生の編曲は再創造であり、敢えてこうかかせていただきます)をなさいました。

そうした唱歌の名曲たちを音楽の現場で大人から子供たちへ伝えることを願って、岸和田少年少女の皆さんにお声かけをしたところ、ご快諾をいただき、本日の「唱歌の四季Ⅱ」の合同演奏に繋がりました。歌は、楽譜が残ることも大切ですが、人から人へ歌い継がれてこそ、生きた音楽として未来に繋がっていくのだと思います。そして、その音楽の場には聴き手として受け止めてくださる皆さんがいてくださってこそ、音楽に魂が宿るのだと思います。

どうぞ本日は演奏者と共に、熱い音楽空間を作っていただきたく、宜しくお願い申し上げます。

 

音楽監督・常任指揮者 雨森文也