映画やドラマ・アニメなど映像に音楽はつきものです。
三保の松原から富士山を眺めても、そこに音楽は流れていませんが、そうした映像が流される時には必ずと言ってよいほど音楽が付随します。
これは私たちが日常的に様々な情景に接するときにそれぞれの人の中には音楽があることの証かもしれません。
逆に、音楽を聴いた時には「小川のせせらぎ」や「小鳥が歌う姿」など、音楽が映像を呼び覚ますことも多々あると思います。
「歌のある風景」は、そんな作品をイメージしてプログラミングいたしました。
国が違えばそこで話される言葉が違います。言葉が違えば、音楽も違います。最初に演奏いたします15世紀の主に貴族の宮廷で歌われていた世俗歌曲は、フランス・ドイツ・イギリス・イタリア、それぞれのお国柄が感じられる楽しい曲たちです。
聴いて下さる皆様にはどんな風景が見えるのでしょうか?
次の放浪記で有名な林芙美子、そして鬼才大手拓次の詩の中に、信長貴富さんはどんな風景を見て、それを音に託したのでしょうか?皆様が詩から受け取られたイメージと作曲家が感じたイメージは、どれほど違うものでしょうか?そんな聴き方も、たまには楽しいかもしれません。
「赤い鳥小鳥」は、皆様よくご存じの童謡のメドレーですが、そこに信長貴富さんは、新たなドラマを見つけてくださいました。そのドラマと皆様の中にある郷愁は、どのように重なるでしょうか?
かのバッハも天才と認めていたと言われてる天逝の作曲家ペルゴレージが、26歳、彼の死の年に書いたスターバトマーテルは、十字架に架けられたイエスを嘆き悲しむ母マリアの姿が見えるような感動的な作品です。当時の最新かつ前衛的な作曲手法で書かれたこの作品は現代にも新鮮な音として蘇ります。
音楽監督・常任指揮者/雨森文也