2017年 7月30日(日)
開演 13:30
いずみホール
今回は平田あゆみ先生の 女声合唱版初演として 「平田あゆみ小品集」を出版記念として歌わせていただきました。平田先生もお越しくださり雨森先生と楽しくお話してくださいました。嬉しいことにこの曲はサクレさんにぴったりですねとご来場のお客様よりお声を掛けてくださいました。
1900年に書かれた滝廉太郎の「花」は、日本人による日本語の歌曲の第1号と言われております。
その後、山田耕筰を始め、数多くの先人たちがたくさんの日本語による歌曲、合唱曲を書いてきましたが、作曲家達を悩ませた大きな壁のひとつが、西洋音楽の語法と日本語を如何に一体化するかということだったと思われます。
そもそもリズム(拍子)とは、ドイツ語を始めとする強弱アクセントを持った言葉から生まれてきたものです。西洋音楽に於いて言葉の強弱は、強拍弱拍という音楽のリズムと不可分の関係にあります。
しかし、日本語には強弱アクセントは無く、高低アクセントによって語られます。この大きな壁を乗り越える為に、ある作曲家はグレゴリオ聖歌に範を求め、またある作曲家は言葉を音素材として扱うことで新たな世界を拓こうと模索してきました。
さて、その答えは見つかったのでしょうか?
否!
この大命題は、永遠の課題であると思います。
しかし、一方ですでに日本人の心の中に「これぞ、日本語による歌曲」と多くの方が認めている作品もあると思います。山田耕筰の「からたちの花」などは、そうした作品の筆頭ではないでしょうか?
いずれにしても、最終的には歴史が評価していくものではありますが…。
そうした状況の中でも、本日演奏させていただく平田あゆみ先生の歌曲、合唱曲は、とりわけ「日本語を大切に」しながら、西洋音楽の語法の中で、ました)
「日本人から日本人へ言葉がしっかりと伝わる」ことを意図して書かれた素晴らしい作品たちです。
かつては、ご自身がプロデュースなさった「うたう劇場」で「歌詞カードがなくてもお客さまが日本語を聞き取れる作品」を目指して、多くの歌曲、重唱曲を発表してこられました。
今回、そうした作品群の一部が女声合唱作品に生まれ変わり、出版されましたことは、本当に喜ばしいことであり、日本人の宝物がひとつ増えたと思っております。
本日は「うたう劇場」で志を平田先生とひとつに活動されてきた森季子さんの独唱と、新しく編まれた女声合唱曲を並べてお聴きいただくことで、平田あゆみワールドを存分に味わっていただきたいと思います。(因みに平林知子さんも「うたう劇場」にピアニストとして関わってこられ
そして、もうひとつ、昨年カンティ・サクレが初演致しました信長貴富先生の新作「麦」を再演いたします。
チェロは、初演の時とは違う方ですが、今回、信長先生からご推薦をいただいた佐藤翔さんが弾いてくださいます。
信長先生の作品を演奏なさった佐藤さんのチェロを、たまたまお聴きになった信長先生が一目惚れ…一聴き惚れなさったと伺っておりますが、サクレの皆さんも平林さんも私も、一聴き惚れいたしました。
どうぞ、こちらも存分にご堪能ください。
音楽監督・常任指揮者 雨森 文也
音楽監督・常任指揮者/雨森文也
専任指揮者・ピアノ/平林知子
メゾソプラノ/森季子
チェロ/佐藤翔